STORY
vol.01
LAWN
東京は変化の激しい都市で、常に新しい動きやトレンドが生まれていきます。そんな東京の中心部である四ツ谷駅のすぐ近くに、モダニズム建築で有名な建築家の高橋靗一氏と弟子 の池田勝也氏が手がけた喫茶店「コーヒーロン」があります。ロンに足を踏み入れた瞬間、昭和にタイムスリップしたよう。
入り口のドアを開けると、店内の階段に目を奪われ ます。階段の優雅な曲線は躍動感をうみ、一段一段 上るたびに私たちは上へ上へと導かれていきます。階段を上るのが苦手な人も多いと思いますが、この デザインは駆け上がったり、踊りながら降りたりし たくなっちゃいますよね。(笑)
忙しい東京の生活では、リフレッシュするためにひと息つくことも大切です。そんな時一度壁に頭を 預けてみてください。壁に残っている跡を見ると、長い年月の間、沢山の人が同じようにしていたことに気がつくはずです。
ヴィンテージのレザーソファに座り、美しい照明の下で愛、喪失、成長という普遍的な体験を私たちに語りかけるビートルズを聞くことでしょう。コーヒーを飲みながら彼らの音楽を聴くことは、世代を超え た喜びです。
コーヒーロンに来たら、名物のタマゴサンドは欠かせません。コーヒーとの相性は抜群です。真っ白なパンと玉子焼きスタイルのタマゴサンド。僕はそこに ちょっとだけ塩をかけちゃうんです。
オーナーの小倉ひろあきさんが教えてくれたように、 タマゴサンドの発祥の地がロンであることを僕は信じています。最近は小倉さんが見守る中、娘のマチコさん(実はフレンチ料理人)がタマゴサンドを作っています。
コーヒーロンはいつまでもここにあるのだろうか? それは、私たちコーヒー愛好家 にとって考えたくない質問のひとつです。答えは、そうであってほしい。 なぜなら、コーヒーロンには歴史と伝統があり、この場所ではかつての東京を垣間見ることができます。そして、東京 の急速な変化の中で、日本の豊かで素晴らしい文化の一部である古い喫茶店を、何世代にもわたって保存するべきであることを伝えてくれる存在であるからです。
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